エスニックフードのひとつとしかみなされていなかったインド料理が世界に認められ、2001年にミシュランの星を初めて獲得しました。
そのレストランというのが、今回紹介するタマリンド。
前回の記事、タマリンド【Tamarind】有名店のスキャンダルで、こちらのお店の歴代シェフやリニューアル後に発覚したスキャンダルについてをまとめました。
今回はそんな問題も踏まえたうえで、Twitterで知り合ったカレー友達と一緒にランチで行ってみました。
インド料理で初ミシュランスターを獲得!
実はインド版ミシュランガイドは未だ出版されていません。
インド料理で初めてミシュランスターを獲得したのは、2001年、ロンドンの2店舗、「タマリンド」と「ラソイ」。
ラソイは現在閉店し、今はタマリンドのみがインド料理の歴史に残るレストランとして有名です。
2001年から17年間1つ星を維持し、2018年に星こそ落としますが、現在もミシュランガイドに掲載されている有名店。
初めて星を獲得し独立したアトゥル・コッチャーさんに続き「名店タマリンドで修業・研鑽し、星を獲得後独立する」というパターンが続いていたのですが、2018年にピーター・ジョセフさんが独立後、星を落とします。(詳しくはこちら)
8か月の間、一旦店を閉め、2018年12月に既にアマヤ【Amaya】で星を獲得しているセレブシェフ、カルネシュ・カナ(Karnesh Khana)さんを迎えリニューアルオープン。
リニューアルした店内は明るく女性的な印象
日本大使館にもほど近いメイフェアの一角、サウジアラビア大使館の並びにあるこちらのお店。
リニューアル後は白を基調とした明るく洗練された雰囲気になっていました。
ガラス張りのエントランスを入ると、レセプションがあり、ランチは2階(1st Floor)。
地下にはディナータイムのみ、タンドールがメインのオープンキッチンのダイニングルームがあります。
レセプショニストに案内されて、階段を上がり2階へ。
右手にはプライベートルームやお手洗いがあります。
正面に進むと自然光がたっぷりと入る明るいダイニングルーム。
奥にはバーカウンターも。
店内随所にセンス良くピンク系のお花が飾られ、インド色は控えめ。
一見ヨーロッパ系のレストランのようなオシャレな雰囲気。
打って変わって、個室はダークブルーで落ち着いた雰囲気。
インド料理をオシャレに再構築
さて、それではいよいよ実食!
前菜からワクワク
まずはこれ・・・何だと思います?
実はこれ、サモサなんです!?
アラーハーバード風ベイクドサモサ(Allahabadi Baked Samosa)
アラーハーバード(イラーハーバード)とはインドの地名。
ウッタル・プラデーシュ州で、ヴァナラシの近くですね。
調べてみましたが、そういうわけではないようです。
他のサモサと比べるとかなり小さなサイズ。
中身は固形の具ではなく、スパイスで味付けした緑豆粉(ペースト状)が入っているのが特徴のようです。
一方、こちらのお店のサモサは・・・。
ご覧の通りのミニミニサイズで、具たくさん!
ジャガイモにコーンに玉ねぎに・・・。
おそらく、一番上の部分に付いている茶色いペーストがスパイス緑豆粉ペーストなのかな?
面白いのは、食べ進んでコーンの最後の尖がり部分にヨーグルトが詰まっており、ひとつで味の変化が楽しめるところ。
お皿に伸ばしたミントチャツネの上に、マンゴーチャツネが点々と置いてあり、その上にザクロの粒がのっています。
全部一緒にサモサにのせて食べると、スパイスの香りに酸味と甘さと爽やかさと・・・インド料理ならではの複雑な味のハーモニー。
更に、通常しっかり揚げてあるサモサですが、Bakedとあるので、オーブンで焼いてあるのでしょう。
女性心理を読んだかのようなこのヘルシーサモサ。
[st-kaiwa1]そもそも具を生地で包んで揚げたのがサモサですよね・・・?
「サモサ」って何?と既存のサモサの概念を覆すこの一品。
そして今回2人前なので、前菜その2は・・・。
クラブ シェクシェク(Crab Xec Xec)。
クラブシェクシェクって蟹が殻ごと入ったゴアのココナツベースカレーですよね?
蟹の甲羅から出して半分に切ってみるとこんな感じ。
クラブシェクシェクと言うかクラブシェクシェク味のフィッシュケーキですね。
フィッシュケーキとは?
他のメニューの辛さはかなりマイルドでしたが、こちらは結構ピリ辛。
蟹の甲羅にカレーのグレイビー部分がソースとして敷いてあり、その上にフィッシュケーキ、細かく切ったキュウリ、コリアンダーの葉をトッピング。
全部一緒に食べると(口内調理で)カレーのクラブシェクシェクを食べた気分になれる・・・?w
細かく刻んだキュウリの食感も面白い。
メインもいろいろあって迷う
面白い前菜ですっかり気分が盛り上がったところで、お次はメインの2品(2人分)。
まずは、ココナツ&チリ シーバス (Coconut and Chilli Seabass)。
まず気付くのはトッピングされたイクラ。
日本人としては、シーバス(スズキ)とイクラの組み合わせはアリだけれど、ココナツとイクラの組み合わせは不思議ですよね?
香ばしい炭火の香り、ココナツの甘い香りとまろやかさ、辛くはないけれど唐辛子の香りも感じられ、更に乾燥オリーブを隠し味に使っているそうです。
イクラはプチプチ食感と色どりのためかな?
そして最後にメインでもう一品、
炭火焼きラムチョップ(Chargrilled Lamb Chop)。
インド料理にあまりピスタチオのイメージは無いですが、デザートや北部カシミールのカレーなどでよく使われているそうです。
スパイスでマリネされたラムチョップ(あばら部分の骨付き肉)はちょうどよく火が通り中はピンク色。
ピスタチオがたっぷりトッピングされていて、こちらも炭火の香りとローストされたナッツが香ばしい。
ダルとパラク、ナンorライス、ライタ付き
前菜、メインともにお上品サイズ。
・・・でも、大丈夫。
最後にダル(豆カレー)、パラク(ほうれん草のカレー)、ライタとナンorライスが付きます。
ハイデラバード風ダル(Hyderabadi Dal Katli)
ラスーニパラク(Lasooni Palak)
ビーツのライタ(Beetroot Raita)
ハウスラッシーもここでしか飲めないオリジナル
ラッシーもとってもオシャレです。
ピスタチオの淡いグリーンにローズペタル。
味もこれがまたオシャレなのです。
杏仁豆腐系の味・・・アーモンドやピスタチオ由来のあの香りと味で、オルジェー(シロップ)を使っているそう。
オルジェーとは?
更に、ピスタチオ、サフラン、カルダモン・・・。
こんな組み合わせは素人には思いつかないプロのシェフの発想ですね。
スキャンダルがあった事もあり、そんな風に思ってしまうのは否めません。
他にも食べてみたい物がいっぱい!
お店のインスタに写真が出ているようなシグニチャーディッシュ(看板メニュー)が少なめの量でランチで食べられるところも嬉しいポイント。
こちらのお店はランチメニューが充実していて食べてみたい物がいっぱい!
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ランチの前菜のひとつ、ラジャスタニーチュリチャット(Rajasthani Churi Chat)。
チュリってインドのブレスレットのことらしいです。
インドのブレスレットみたいなラジャスタン風のパパド(薄焼きせんべい)のチャット(おやつ)。
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既に星を獲っている独創的なシェフと、改装して素敵な元祖モダンインディアンの初星獲得レストラン。
サービスも感じ良く丁寧で、見た目に美しく、味も美味しく独創的なお料理、明るく洗練された雰囲気。
私見ではありますが、スキャンダルの問題さえなければ、ミシュランスターを普通に取れていたはずのレストランなんじゃないかなぁ・・・と思いました。
訪問日:2022年10月
基本情報
お店の基本情報です。
メニューの内容は定期的に変わります。
営業時間にも変動がありますので、お店のHP要確認。
・ E-mail reservations@tamarindrestaurant.com
・ 店舗ウェブサイト http://www.tamarindrestaurant.com/
電話番号 | +44(0)20 76293561 |
営業時間 | ランチ 12:00 - 14:30 |
ディナー 17:39 - 22:15 | |
定休日 | 無し |
住所 | 20 Queen St, London W1J 5PR |
アクセス | 地下鉄グリーンパークから徒歩5分、ハイドパークコーナー駅から徒歩10分 |