インド料理のお店が数えきれないほどあるロンドンにおいて、ミシュランガイドで紹介されるお店はごくひと握り。
・・・にも関わらず、移民の絶対数的にもマイナーなスリランカのレストランがチラホラ紹介されてきています。
新しくオープンしたお店もあったり、近頃なんだか気になるスリランカ料理。
今回はミシュランガイドでビブグルマンのオシャレなスリランカ料理レストラン、パラダイス・ソーホー【Paradise Soho】に行ってみました。
ミシュラン・ビブグルマンのスリランカ料理
以前紹介したホッパーズ【Hoppers】以来のスリランカ料理。
こちらのレストランは、南インドのみならず、オランダ、ポルトガル、マレーシアの影響を受けたスリランカ料理を、イギリスの厳選食材を使って現代風にアレンジしてるとのこと。
コンテンポラリーで洗練された小皿料理
小皿料理を何品かシェアするスタイルなので、2人でいろいろ頼んでみました。
紫ヤム芋とココナツのポルロティ、ホイップしたジャーシー乳の発酵バターとスパイスポルパニ添え
ポルはココナツ、ロティはパンのこと。
こちらのポルロティはココナツに紫ヤム芋をプラスした優しい甘さのミニサイズ。
ポルパニとは?と調べてみると、ココナツのシロップ、もしくはココナツの具入りパンケーキのよう・・・なのですが、こちらではその具にあたる物でしょうか?
甘いというよりしょっぱい系だったので、ポルサンボル(ココナツふりかけ的なもの)と違うのかオーナーのドムさんにきいてみると「生じゃなく加熱調理してあり、モルジブフィッシュ(鰹節のようなもの)も入っていないよ。」とのこと。
ポルパニが結構辛かったけど、ホイップバターと一緒に食べるとまろやかになり、ロティの甘さも加わりいい感じ。
そして前菜2つ目。
セイロン風スパイスでグリルしたエビ、海藻バターとマンゴーチャツネ
エビの下に敷いてある黄色く透明なのが海藻バター、その上にマンゴーピュレのようなオレンジ色のマンゴーのソース。
香ばしくグリルしたエビは程よくスパイシーで、甘酸っぱいマンゴーソースとうっすら磯の香りのするバターと一緒に食べると、うーん、絶妙。
そしてもうひと皿。
イギリス在来種豚のカシラ肉煮込みエンパナーダ、梨とタマリンドケチャップ、インディアンオニオンのせ
エンパナーダは中南米やスペイン、ポルトガル、フィリピンなどで食べられているミートパイ的なもの。
・・・と思って検索してみると、フィッシュパティと呼ばれるエンパナーダ的なスリランカ料理レシピが多数出てきたので、スリランカでも食べられているようです。
中の具はクローブの香りが効いたポークで、梨とタマリンドの黄色いソースはピリッと辛い。
仏教徒の多いスリランカではポークやビーフが食べられるというところも一般的なインド料理とは違う嬉しいポイント。
茄子とジャガリーのモジュ
ターメリック、ココナツビネガー、唐辛子でマリネした揚げ茄子のレリッシュ(付け合わせ・薬味)は、そのままご飯と食べても、カレーや他のおかずと一緒に食べてもいい感じ。
そしてカレーも一品。
オークニー産ホタテとスコットランドの手長エビのキリホディ、リンゴ、グリーンマンゴー、ランブータンとオレンジワインのアチャール、オル・グレイン、カレーリーフオイル
キリホディはココナツのカレースープ(スープカレー?)。
ホタテの下にある、見た目が粒マスタードっぽい粒々は、全然マスタードの味がしないなぁと思ったら、オル・グレインという睡蓮の種なのだそうだ。
ホタテの上にのっているのはリンゴやランブータンの甘酢漬けっぽいもので、マイルドなココナツカレーのアクセントになって美味しい。
ホタテは hand-dived(ダイバーが潜って取った)オークニー諸島(スコットランド)の天然もの。
こちらはお馴染み(?)のホッパーに卵を落としたエッグホッパー。
米粉とココナツミルクの発酵生地をボウル状に焼いたパンケーキ。
ご飯はスリランカのムツサンバライス(muthu samba)という品種で小粒のかわいいお米。
調べると臭みがあるという意見もあるようですが、特に臭みも感じず食べやすいパラパラなご飯でした。
スリランカにちなんだドリンクも
ワインはオーガニックワインメーカーのスパークリング、赤、白、オレンジワインがラインナップ。
カレーに負けない飲みごたえがしっかりあるオレンジワインは最近の高級インド料理のレストランでよく見かけます。
今回私はスペインのオレンジワイン、友人はノンアルコールのアイスティーをオーダー。
ホタテのキリホディーで、ホタテに乗っていたアチャールにもオレンジワインが使われていましたが、他に頼んだお料理にも全体的にしっくりくる感じ。
友人のヌワラエリヤスタイルの梨のアイスティーは、スリランカの高地ヌワラエリヤの希少な紅茶に洋ナシの香りをプラスしたアイスティー。
繊細な味と香りの紅茶で、洋ナシの香りが強め、スッキリした味わいで美味しかったそうです。
オーナーの親戚が、セイロンティーの専門ブランド、ディルマティー(Dilmha Tea)のオーナーなのだそう。
スリランカは紅茶も有名ですよね。
他にもココナツの蒸留酒アラックやランブータン、カレーリーフなどスリランカの食材を使ったカクテル、ライオンラガービールなど、スリランカ気分を味わえるドリンクがいろいろありました。
トロピカル・ブルータリズムがテーマのカッコいい店内
トレンディーなレストランから中華街、アダルトショップ、ゲイバー・・・などなど、ロンドンの中心部でもごちゃごちゃっと賑やかなエリア、ソーホー。
そんな場所柄にも関わらず、とても地味な外観。
・・・にも関わらず、店内は賑わっている様子。
必要最小限・・・「ミニマル」という言葉がピッタリくるシンプルかつオシャレな店内は、スリランカの有名な建築家、ジェフリー・バワの建築スタイル、トロピカルブルータリズム(モダニズム)からインスピレーションを得ているのだそう。
ブルータリズム建築とは?
打ちっぱなしのコンクリートなど飾り気のない粗野で無骨、資材の質感を残したスタイル。
バワの建築は土地とともにあり、内部と外部がシームレスに連続し、そしてその居住者の快楽が最高に達するように設計されている。セイロンの伝統建築や植民地建築や、またそれらにおける水の役割に影響されてはいるが、植民地主義の考えやあらかじめある形態を敷地に強要することは、拒否する。
出典:Wikipedia
シンプルでコンパクトな店内。
2、3名の場合は L字のバーカウンターと窓際のカウンター席、4-6名ならテーブル席で予約可能。
焼き物の器は全てロンドンのセラミックアーティストによって作られているこだわりよう。
食材もスリランカ直送のスパイスにイギリスの厳選した野菜や肉、魚介なのだそう。
オーナーはロンドン生まれのスリランカ系イギリス人
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こちらのお店のオーナーは、スリランカ出身のご両親のもとロンドンで生まれたドム・フェルナンド【Dom Fernando】さん(写真右)。
スコットランドのエジンバラ大学卒業後、会計士として働くもレストラン・ホスピタリティ業界への想いを捨てきれず、インターコンチネンタルホテルグループに入社。
その後ドバイ、シンガポール勤務を経験し、2019年にロンドンへ戻り自身のルーツであるスリランカ料理のレストランをオープン。
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現在のヘッドシェフは人気のテレビ番組、マスターシェフのセミファイナリスト 、スリランカ出身のマリン・デ・シルヴァ【Malin De Silva】さん。
ドムさんと一緒にスリランカ料理を盛り上げてくれること間違いなしの実力派です。
おわりに
小さなお店で、予約がちょっと厳しい(24時間前からキャンセル&人数変更で一人につき£35チャージされる)さらに、テーブルは10分遅刻でリリースされるので注意。
カウンター席で、スツールが固定されていて高さが結構高いです。
混んでいる時間が過ぎると空席もあったので、1時頃の込み合う時間を避ければカウンターでおひとり様飛び込みで軽く食事するのに良いかも!と思いました。
全くスリランカ料理について知らない人であっても、味自体はどれもとても美味しいので楽しめると思います!
決して安い訳ではないのですが、これだけ食材、インテリアや器にもこだわっており、他では食べられない凝ったお料理なので、ビブグルマン納得!という感じでした。
訪問日:2023年3月28日
基本情報
お店の基本情報です。
メニューの内容は定期的に変わります。
営業時間にも変動がありますので、お店のHP要確認。
・ E-mail info@paradisesoho.com
・ 店舗ウェブサイト http://paradisesoho.com/
電話番号 | 無し |
営業時間 | ランチ:火曜 - 金曜 12:30-16:00 土曜は12:00-23:00遠し営業 |
ディナー:月曜- 金曜 17:00-23:00 月曜はディナーのみ | |
定休日 | 日曜 |
住所 | 61 Rupert St, London W1D 7PW |
アクセス | 地下鉄ピカデリーサーカス駅から徒歩4分、レスタースクエア駅から徒歩6分 |