ロンドン屈指の高級住宅街、チェルシーの大通りから少し入ったところにあるこのお店。
タウンハウスとは、地方に大邸宅を構える貴族が、ロンドンなど市街地に滞在する際に使う住居。
そんなタウンハウスのドアベルをピンポーンと鳴らし、星付きシェフのインド料理を楽しめるお店、クティール【Kutir】に、おひとり様ランチで行ってきました。
ポッシュなチェルシーで洗練されたインド料理
地下鉄スローンスクエアから徒歩数分、サーチギャラリーや、高級食材店のパートリッジズもすぐ近くにあります。
賑やかなキングスロードを1ブロック入るだけで、驚くほど静かな住宅街。
貴族の子女やセレブも住むポッシュなエリア、チェルシー。
モデルに違いない9頭身美女がスッピンで犬の散歩をしていたり、普段着っぽいのに迫力あるマダムがクリーニングした洋服片手に隣人と立ち話していたり・・・。
そんな住宅街にさりげなくたたずむこちらのレストラン。
オーナーシェフは、星付きシェフのロヒット・ガイ(Rohit Ghai)
Who’s ready for @Wimbledon?
Best of luck to the peerless @rogerfederer who joined us for dinner last night 🎾#Wimbledon2019 pic.twitter.com/ho0imkGqG3— Kutir Chelsea (@kutirchelsea) June 30, 2019
フェデラーの向かって右側にいるのが、オーナーシェフのロヒットさん、左側が共同経営者でビジネスパートナーのアビシェイクさん。
キッチンで采配を振るのはミシュランスターシェフのロヒット・ガイ(Rohit Ghai)。
タージマハールで有名なアーグラの南にあるグワーリオール出身で、オベロイホテル、タージホテルなどで研鑽を積み、渡英。
ベナレス【Benares】を経て、ジムカーナ【Gymkhana】やトリシュナ【Trishna】で活躍し、更にはジャマヴァール【Jamaval】でミシュラン1つ星を獲得。
そんな彼が、ビジネスパートナーのアビシェイク・サングワン(Abhishake Sangwan)と共に、2018年に独立して始めたのが今回のレストラン、クティールです。
It was great to host tennis ace @MariaSharapova at Kutir. Here she is with our Luca. pic.twitter.com/vwpRdZ5cdB
— Kutir Chelsea (@kutirchelsea) May 24, 2019
ウィンブルドン前後にはテニスプレイヤーも出没。
大通りから外れた住宅街にあるため人目を引かず、住居を改築したお店で個室もあるので、有名人にも重宝されている模様です。
ホームパーティーにお呼ばれしたような気分
派手な看板などは無く、住宅街に同化しています。
入口ドアの横には「ドアベルを鳴らしてください」との表示。
ベルを鳴らして中から開けてもらいます。
タウンハウスを改築した店内は、住居っぽさを残した造りで、友人宅にでも招かれたような気分になります。
「クティール」とは、ヒンドゥー語で「コテージ」「シンプルな小屋」という意味。
インドの自然や文化遺産をモチーフにしたインテリアだそう。
確かに壁紙や飾ってある絵、インテリアはインドの自然をイメージした感じ・・・。
オーナーの2人、ロヒットさんとアビシェイクさんが若い時に携わっていたインドの大自然の中にあるラグジュアリーなホテルをイメージしているとか。
テーブルにつくと美しいリモージュ磁器のプレート、レイノーの「パラダイス」がセッティングされていてうっとり。
メニューを見ながら食前酒のベリーニを飲み、ちょっと良い気分。
オーダーすると、このお皿は下げられてしまったので、お店の人に「あのカワイイお皿がいい!」と言ったら、笑って戻してくれました。
・・・が、別のウェイターさんにすぐにまた下げられてしまいます・・・。w
星付きシェフの3コースランチはコスパ良し
前菜
サーモンタンドリーティッカ、大根のライタとラディッシュのピクルス
炭火の香りも香ばしく、外側はカリッと、中は柔らかくジューシーに焼き上げられたサーモン。
添えてあるライタには細かいフレーク状のものが入っていてなんだか覚えのある味・・・。
細かく刻んだ大根のカリカリした食感と、グリークヨーグルトかな?ホイップしてあってフワフワな食感が面白く、オリジナリティーのあるライタ。
ラディッシュのピクルスも添えてありました。
メイン
メインはチキンティッカマサラ。
ランチコースに一緒に付いてくるのは、タルカダル、ナンとバスマティライス。
イギリスの国民食、チキンティッカマサラ。
チキンティッカは骨を取り除いた切り身のチキンをマリネして串刺しにし、タンドールで焼いたもの。
いったんタンドールで調理したチキンティッカに、トマトとクリームベースのマサラソースを合わせたのがチキンティッカマサラ。
私は普段チキンティッカマサラやバターチキンはそれほど好んで食べないのですが、こちらのチキンティッカマサラは評判が良いので頼んでみました。
トマトの旨味が効いていて程よい酸味もあり、チキンも香ばしくて美味しかったです。
デザート
マンゴーとローズのカッサータ
イタリアはシチリアの名物、カッサータのアレンジ。
マンゴーとローズのクルフィー(アイスクリーム)をピスタチオのスポンジで包んだアイスケーキのスライスに、マンゴーソースとゼリー。
ゼリーに添えてある飾りの草(!)、葉の部分は特に香りは無かったけれど、種の部分を食べてみたらフェンネルでした。
インド系スイーツは、甘過ぎるものも多くちょっと苦手なのですが、こちらのデザートは甘さも量も程よく美味しかったです。
コスパ抜群のランチ
ミシュラン星付きのインド料理レストランはロンドンにいくつかありますが、どこも3コースで£39(コロナ禍の後にかなりかなーり、高騰しました・・・)ほど。
クティールは、ミシュランスターシェフのお店ですが、お店自体にはまだ星がついていません(2022年現在)。
そんな理由もあってか、3コースで£25と、かなりリーズナブルでした。
星付きのお店に引けを取らないお料理内容と素敵な店内。
少なすぎず多すぎず、程よい量で満足感もあり、サービスも感じ良く、おひとり様ランチでもとっても居心地良かったです。
タウンハウスのレストラン店内を見学!
チェルシーのタウンハウスに興味深々だったので、お店の方に頼んで店内を探検させてもらいました。
雰囲気の違う他のお部屋も素敵
私が今回席に着いたのは、入口から入って右手にある小さなお部屋。
開店13時の5分過ぎくらいに入ったのですが、グループ客もいてこちらのお部屋は満席でした。
天窓から自然光が入るメインダイニングは、エレガントなインテリア。
階段を上がり2階(1st floor)に行くと素敵なシャンデリアのお部屋も。(照明オフですが・・・)
パーティーなどに使い勝手の良さそうな広さで、インテリアも趣があります。
同じく2階に小さめのお部屋もありました。
こちらはレストランというよりは、家っぽい感じで居心地が良さそう。
こんなところに、ロヒットさんのレシピ本も(右上)。
更に、私が訪問した4月にはまだ閉まっていましたが、2階のテラス席も間もなく開くとのことでした。このガラス窓はメインダイニングの天窓の上部分ですね。
1階バーエリアには、カクテルやワイン、ビールなども揃っています。
この建物、どこかで見たことが・・・。
ラソイとは・・・
2001年にインド料理初のミシュランスターを獲得したシェフが2人。
1人は既にこのブログでも登場したアトゥル・コッチャー【Atul Kochhar】、そしてもう1人が、ヴィニート・バティア【Vineet Bhatia】。
ヴィニートさんはシナモンクラブ【Cinnamon Club】やザイカ【Zaika】オープンの立役者。
このヴィニートさんのレストラン、12年間ミシュランスターをキープしたお店がラソイ。
星付きシェフが星付きレストラン跡地に
そのラソイですが、同じ場所でコンセプトを変え、テイスティングメニューのみのレストラン、VBL【Vineet Bhatia London】に変わり、引き続き星を獲得するも、2017年10月(2018年のミシュランガイド)、2年目の1つ星獲得後1週間たらずで突如閉店。
どうやら経営側パートナーとの意見の不一致での決断だったようなのですが、その後、ジャマヴァール【Jamaval】でエグゼクティブシェフとして星を獲得したロヒットさんが、この物件に新たにクティールをオープンして独立したというわけです。
ジャマヴァールのロンドン進出を成功させ、ボンベイバッスルも出店したばかりで・・・。このタイミングで独立?とも思いましたが、物件とのめぐりあわせもまた運命ですよね。
お店のコンセプトがイマイチ伝わらなかったけど・・・
正直、インドの自然に囲まれた楽園というよりは、都会で見つけたインド風イングリッシュガーデン的なイメージかも・・・。
お店のHPにある木の小屋の絵や本来のコンセプトはイマイチ実感できなかったけれど、この都会の隠れ家的な雰囲気や、エレガントなインテリアはとっても素敵。
この先、星がついたらお値段も跳ね上がりそうだし、行くなら今なのかも。
ロンドン在住の方にも、旅行者にも、おススメしたい素敵なレストランでした。
訪問日:2022年4月26日
基本情報
お店の基本情報です。
ランチメニューの内容は定期的に変わります。
営業時間にも変動がありますので、お店のHP要確認。
・ E-mail hello@kutir.co.uk
・ 店舗ウェブサイトhttps://kutir.co.uk/
電話番号 | +44(0) 02075811144 |
営業時間 | 13:00 - 22:00 |
定休日 | 月曜 |
住所 | 10 Lincoln St, London SW3 2TS |
アクセス | 地下鉄スローンスクエアから徒歩6分、サウスケンジントン駅から徒歩14分 |