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カニシュカ【Kanishka】東北インド7姉妹州のマニアックなインド料理

イギリスとインドは歴史的にもつながりが深く、インド各地からの移民が何世代にも渡ってイギリスにに移住しています。

ロンドンのインド料理が面白い理由のひとつに、南北インド料理のみならず、珍しいエリアの料理も楽しめることがあげられます。

今回は、そんなちょっとマニアックなインド料理

ミシュランスターシェフによる、インド東北部の7姉妹州の料理に特化したレストラン、カニシュカを紹介します。

レビューだけ読みたい方は後半【3】からどうぞ!⇩

東北インド7姉妹州の料理を楽しめる

「未開拓の楽園」とも呼ばれているこのエリア。

インド東北7姉妹州について調べてみました。

7姉妹州ってどんなところ?

画像引用:Wikipedia 7姉妹州

バングラデシュを切り取られ、かろうじて繋がっている東北部の7つの州のことなんですね。

東北7姉妹州

  • アルナーチャル・プラデーシュ州:ヒマラヤ山脈東部、インドと中国国境の紛争地帯で、ミャンマーやブータンとも国境を接する。
  • アッサム州:東北インドの中核、紅茶で有名。半数以上はヒンズー教で次に多いのはイスラム教。
  • メーガーラヤ州:ほぼ全域が標高1000メートル超で世界でも有数の降水量。バングラデシュと国境を接する。半数以上がキリスト教。
  • マニプル州:ミャンマーとの国境エリア。ヒンズー教とキリスト教がともに40パーセントほど。
  • ミゾラム州:チベット・ビルマ系でキリスト教徒のミゾ族が全体の約90パーセント、その次に多いのが仏教徒、ヒンズー教はマイノリティーで3パーセントほど。
  • ナガランド州:住民の90パーセントはキリスト教徒。一部インドからの独立勢力も。
  • トリプラ州:イスラム教のバングラデシュに入り組んだエリアで、中世よりヒンドゥー教のトリプラ王国として独立していたエリア。

宗教的にも民族的にも異色のエリア

インドの他のエリアと比べるとキリスト教徒が結構多いですね。

ポルトガル領だった南西インドのゴアの食文化は、ポルトガルの影響を色濃く受けていますが、今回の東北インドの一部のエリアでは、同じキリスト教でもイギリスやアメリカによって布教されています。

更に中国やブータン、ミャンマーにかけて国境があり、民俗的にも他のエリアとは異なるため、必然的に食べるものも違うわけですね。

7姉妹州の食文化

調べてみると、7姉妹州の料理には似ているものが多いそう。

宗教的な食の制限が少ないため、ノンベジタリアンが主流

バングラデシュや西ベンガル料理の影響も受けており、海には面していないけれど魚介類も良く食される

スパイスの量は控えめ野菜ハーブ発酵させたタケノコが主要な材料、主食にはお米がよく食べられているのだとか。

興味深い!

ミシュランスターシェフのお店

こちらのお店のオーナーは、インド料理で初めてミシュランスターを獲得した2人のインド人シェフのうちの1人、アトゥル・コッチャー【Atul Kochhar】

インド東部のジャムシェードプル出身のアトゥルさんは、ロンドンのレストラン、タマリンド【Tamarind】でインド料理で初めてミシュランスターを獲得し、オーナーシェフとしてメイフェアのベナレスで独立。

ミシュランガイドひとつ星を長年キープしていましたが、現在はベナレスのオーナーシェフを退き、イギリスやインドにたくさんのレストランを展開し、テレビ番組やイベントでも活躍するセレブシェフです。

カニシュカの料理は、彼が実際に現地を訪れて学びアレンジを加えた地方料理。

ここカニシュカもミシュランガイドでミシュランプレートとして紹介されています。

したがって、若干高級な感じではありますが、そこはインド料理。

ランチならお買い物帰りに気軽に立ち寄れる雰囲気です。

さてさて、どんな料理が食べられるのかな?

これ、インド料理?な食材やスパイス使い

今回はランチの3コース。

ミサマーチプーラ (Misa Mach Poora) マスタードチャツネ添え

ミゾラム州のミサマーチプーラというグリルしたエビ料理。

長ネギチンゲン菜など、ちょっと東アジアっぽい野菜が使われているのが面白い。

添えられているソースは、マスタードチャツネ

ターメリックなどのインドのスパイスも使われているけれど、辛くないし酸味もあってマスタードの味と香りが効いている。

確かにインド料理っていうのとはちょっと違う感じ。

ミゾラム州はキリスト教徒が多い州とのことで、ビーフやポークが良かったのですが、ランチメニューには無かったのでこちらに。

オヒョウのマスールテンガ(Haribut Masor Tenga Gravy, Mashed Yam)

メインはオヒョウ(ヒラメのような魚)のマスール・テンガ。

アッサムの料理で、Tangy curry(酸味のあるカレー)と訳されていたりします。

これはね・・・隠し味にスパイスを入れたトマトソースみたいな・・・。

あまり煮詰めていないフレッシュなトマトの酸味

調べてみたらベンガルのスパイス、パンチフォロンを使っているんですね。

パンチフォロンとは

ベンガルのミックススパイスで、パンチは5、フォロンはスパイスという意味。

クミン、フェンネル、フェヌグリーク、ナイジェラシード、マスタードシードをホールで同量まぜたもの。

ヤム芋のマッシュにもスパイスが入っていて美味しい。

これもインドカレーのイメージとは程遠い。

マサラチャイのクレームブリュレ

こちらは見たまんま。

濃厚なチャイ風味のクリーム、表面はパリッと焼いてあり美味しい。

ショートブレットが添えてあり、上にイチゴとレモンバームをトッピング。

これは7姉妹州は関係ないけれど美味しかったです。

他にはどんな料理があるの?

ランチのセットメニューはこんなものが食べられます(メニューは定期的に変更されるので、ご参考までに)

  • Baked Mackerel, Pickled Bamboo Shoot, Bilahir Tok(焼きサバと発酵させたタケノコ、ビラヒール・トク)ビラヒール・トクはトマトのチャツネ(付け合わせの調味料)。
  • Mizo Vawksa: Stir-fried Chicken, Pak Choi, Spinach and King Chillies(ミゾ・ヴォクサ:チキンとチンゲン菜、ほうれん草、キングチリの炒め物)ヴォクサは普通はスモークした豚肉の炒め物ですが、こちらではインド人客も多いせいかチキンバージョン。キングチリはゴーシュトチリとも呼ばれる世界一辛い唐辛子。
  • Corn-Fed Chicken, New Potatoes, Kosha Gravy(チキン、ジャガイモ、コーシャグレイヴィー)コーシャはベンガル料理のカレーの一種。

アラカルトではネパール・チベット料理として有名なモモのインド版や、ビーフのメニューもありました。

7姉妹州ではポーク料理も一般的なのですが、こちらのレストランでは敢えてチキンに変更するなどして避けている印象

シェフにベンガル系のムスリムがいたりするのかな?もしくはビジネスランチなどにも使われるレストランなので、豚肉を避けたのかな?

実は、宗教上のいざこざがいろいろあったようで、こちらにまとめています。

メニューが難しい・・・

実際に行ってみて感じたのは、メニューを見るだけでは何がなんだか分からないので、オーダーが難しいということ。

普通のインド料理でもメニューを見て?と思うことがあるのに、7姉妹州のマニアックな料理で謎の単語続出

地名なのか料理名なのかさえ分からず、ずーっとGoogle先生に頼りっきりでした。

インド料理の有名シェフのお店なので、普通のインド料理と思って入った人の場合、食べたい物とちょっと違うかもしれないですね・・・

7姉妹州がインド東北のマニアックなエリアだと知識があり、料理名も聞いたことがあるインド系の人じゃなければ、食べたい物をちゃんとオーダーするのは難しいと感じました。

でも、今回この記事を書くためにいろいろ勉強して、7姉妹州について興味を持ったので、他のメニューもいろいろ試してみたいと思いました!

リピしたい!でもマニアック過ぎて一緒に行ける人がいないかも。w

 

訪問日:2022年2月28日

基本情報

お店の基本情報です。

ランチメニューの内容は定期的に変わります。

営業時間にも変動がありますので、お店のHP要確認。

・ E-mail info@kanishkarestaurant.com

・ 店舗ウェブサイト http://www.kanishkarestaurant.co.uk/

電話番号 +44(0)2039780978
営業時間 12:00-0:00
定休日 無し(祝日等は要問合せ)
住所 17-19 Maddox St, London W1S 2QH
アクセス 地下鉄オックスフォードサーカス駅から徒歩4分、ボンドストリート駅から徒歩7分

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