官公庁の建物が立ち並ぶウエスミンスターの一角。
地図で予め場所を調べて行かなければ、レストランだとは分からないこのお店。
2001年にオープンし、インド料理をファインダイニングへと進化させた立役者のひとり、ヴィヴェク・シン(Vivek Singh)のレストラン、シナモン・クラブ【The Cinnamon Club】。
今回は土曜日のランチタイムに子連れで行ってみました。
この素敵な空間を楽しむだけでも価値がある
イギリスの歴史的建造物グレードⅡに指定されているこの建物。
外観を変えてはならないため、レストランの看板など一切ありません。
中に入ってみると、まさに古い図書館といった雰囲気。
入口の右側に慎ましくちょこんと立っているメニューを見て、辛うじてレストランだとわかります。
ドアの向こうにはレセプションがあり、コートや荷物を預けられるので、スーツケースを預けている旅行者も。
レセプション左側にもソファーがあり、その奥にはバーエリア。
階段を降りたところにもバーがあるので、早めに行ってゆったりオリジナルカクテルを楽しむのも素敵かも。
レセプション右手を抜けると、吹き抜けで開放感のあるメインダイニングルーム。
テーブル間の距離も十分とってあるので、周りのテーブルの話し声も気にならない。
壁全体が本棚になっている斬新なインテリア。
全て図書館から引き継いだ年季の入った本物の本。
こんな空間でいただくモダンインディアン、さてどんなお料理なのかな・・・と期待も膨らみます。
ワインとも合う洗練されたインド料理
土曜日のランチタイムでしたが、私はアラカルト、夫は3コースランチセットにしました。
まず出てきたのはアミューズのひとくちコロッケ。
クリスピーな衣とピリ辛のカレーマヨネーズが美味しい。
頼んでないものがオマケで出てくると嬉しくなっちゃいますよね。
ランチのアラカルト
私はアラカルトで前菜にはクローブでスモークした子鳩をオーダー。
鳩は赤身のしっかりした味でスパイスに負けていないし、マンゴーソースと一緒に食べると甘さや酸味も加わってとても美味しい。
両サイドにはスパイシーな鳩のひき肉を春巻きっぽく巻いて揚げたものに、スモークパプリカ入りのライタ(キュウリとヨーグルトのサラダ)やコリアンダーのチャツネ添えてある。
奥には甘いカボチャのチャツネ、更に手前にはスパイシーなローストピーナッツ。
いろんなソースやチャツネと組み合わせて食べてみたり、ピーナッツの触感も加わり楽しいひと皿。
メインもクローブでスモークしたラムに。
前菜と味付けがちょっと被るけど、ラム大好きなのでつい。
焼き加減の希望も聞いてくれたので、ミディアムレアで。
コーンとヨーグルトのソースはちょっと酸味が強かった。
奥にスパイシーなラムひき肉もありライスもついて結構なボリューム。
お昼なので、ワインは1杯だけ。
鳩にもラムにも合いそうな濃い目のがいいなぁと思ってワインリストを眺めると、ウルグアイのタナ(Tannatという品種)があり、グラスで飲める。
タンニンの語源ともなったこの品種、真っ黒に近い濃い色だけど、あれ?意外となめらかなタンニンで、口の中できしむ感じがほぼ無い。
樽の香りがしかっりしてスモークされた肉とも合う。
ウルグアイのタナ、インド料理に合う。いいね!
インドのデザートは甘過ぎることが多いので、私はパスして、カクテルに。
オリジナルのハルワマティーニ。
アブソルート・バニラ(バニラフレーバーのウォッカ)のエスプレッソマティーニに焦がしバターを加えたカクテルは、意外と甘すぎず大人の味。
お昼だから・・・とか言ってたくせに、結局もう一杯結局飲んじゃいました。
セットランチは土曜でも平日と同じ値段
夫は3コースのランチセットで、前菜が鯛のバナナの葉包み焼き、メインは鹿肉のケバブ、ブラックダール(ウラド豆カレー)とマサラマッシュポテト添え、デザートはココナッツのキール(ライスプディング)でした。
ソース代わりに添えられたブラックダールは夫のお気に入り。
家で作ってとリクエストが入りました。
マサラマッシュポテトも真似したい!
デザートも味見させてもらうと、普通のインドスイーツみたいに激甘ではなく、ココナツミルク粥的なものに、炭火で焼いたパイナップルとキノア、ラズベリーのクランブルのトッピング。
夫曰く、デザートと言うより朝食みたい・・・うーん、確かに。
むしろ、このアイデアは朝食に使えそう。
3コースで£30、2コースなら£25。
物価の高いロンドンで、この雰囲気の中楽しめることを考えたら、同じくらいの額の他のレストランのランチと比べてもコスパ良し。
子連れで行っちゃいましたよ!
ランチとはいえちゃんとしたレストランなので、インスタのDMで念のため4歳の子連れで大丈夫か予め確認。
「大丈夫ですよ!」と返事を貰ったので、当日早めの開店直後にお店に入ると、既に幼児連れファミリーが先にテーブルについていました。
更に私たちの後にも同じくらいの年頃の子連れ家族がもうひと組。
テーブルの配置に余裕があり、他のテーブルが気にならない距離感だったこともあり、子連れでも落ち着いて食事を楽しめました。
子供用メニューは無いけれど、相談するとチキンにソースをかけずに別にしてくれたり、アミューズもスパイス無しの子供用にしてくれたり、本棚の本を見せてくれたり、スタッフも子供に優しい。
早く食べて混む前に帰ろう・・・と思っていたけれど、すっかりくつろいで満喫してしまいました。
ちなみに、土曜のランチタイムはジーンズなどカジュアルな服装で来ている人も結構いました。
平日であれば、場所柄、国会議員や官僚のミーティングやパーティーにも使われるそうです。
お会計にも本を利用。
図書館として建てられたこの建物も、まさかレストランになるとは思いもよらなかったでしょうね・・・。
綺麗に改装されてたくさんの人に愛される場所として蘇り、建物冥利に尽きるんじゃないかな。
歴史的建造物は、改装にもペンキや資材に指定があったり、細かいルールが決められているそうです。
古いものを大切にするイギリスらしさ、多民族が共存して進化していくロンドンらしさを感じられる素敵なレストランでした。
訪問日:2022年1月29日
基本情報
お店の基本情報です。
ランチメニューの内容は定期的に変わります。
営業時間にも変動がありますので、お店のHP要確認。
・ E-mail info@cinnamonclub.com
・ 店舗ウェブサイト https://cinnamonclub.com/
電話番号 | +44 (0) 20 7222 2555 |
営業時間 | ランチ12:00-15:00 |
ディナー17:30-23:00 | |
定休日 | 日曜 |
住所 | The Old Westminster Library, Great Smith St, London SW1P 3BU |
アクセス | 地下鉄ウェストミンスター駅から徒歩9分、セントジェームズパーク駅から徒歩7分 |